歯列矯正は、歯の位置を整えることで、噛む機能や見た目を改善する治療法です。
近年、従来のワイヤー矯正に代わる方法として、マウスピース矯正、特にインビザライン矯正を選択する方が増えています。
この記事では、インビザラインの仕組みを詳しく解説し、なぜマウスピースで歯が動くのか、そのメカニズムを探ります。
目次
■マウスピース矯正とは?
◎インビザラインの概要
インビザラインは、透明なプラスチック製のマウスピースを使用して歯を徐々に動かす矯正方法です。患者さまの口腔内をスキャンしたデータを基に、コンピューターで設計されたマウスピースを使用して歯を動かしていきます。
◎マウスピースのデザイン
インビザラインのマウスピースは、それぞれの患者さまに合わせてカスタムメイドされています。コンピューターシミュレーションを通じて、歯の動きを計算し、必要な力を加えるように設計されています。この精密なデザインが、歯を効果的に動かす鍵となります。
■なぜマウスピースで歯が動くのか?その仕組みとは
◎歯の動きのメカニズム
歯が動くのは、歯根と歯槽骨の間にある歯根膜が圧力を受けることによるものです。マウスピースは歯に対して持続的な力を加え、歯根膜を圧迫します。この圧力が歯槽骨のリモデリング(骨を溶かしたり新しく作ったりすること)を促し、徐々に歯が新しい位置に移動するのです。
◎力のコントロール
インビザラインの特徴は、力のコントロールが非常に精密である点です。マウスピースは段階的に交換していくため、毎回数ミリ単位で歯を動かす力を調節できます。
この段階的なアプローチによって、痛みや不快感を最小限に抑えながら、理想的な歯並びへと導きます。
■マウスピースの使用方法
◎装着時間の重要性
インビザラインの効果を最大限に発揮するためには、1日20時間以上の装着が推奨されています。食事や歯磨きの際に取り外すことができますが、それ以外の時間は装着し続けることが必要です。適切な装着時間を守ることで、計画通りに歯が動きます。
◎マウスピースの交換タイミング
通常、マウスピースは1週間〜2週間ごとに交換していきます。交換のタイミングは歯の動きの進捗に合わせて決められ、歯科医師が判断します。
この定期的な交換によって、歯列矯正のプロセスがスムーズに進行します。
■マウスピース矯正の利点とできない症例
◎マウスピース矯正の利点
マウスピース矯正は、目立ちにくいことが大きな利点です。透明な素材で作られているため、装着していることが周囲に気づかれにくいです。
また、取り外し可能なため、食事や歯磨きがしやすく、口腔内の衛生状態を良好に保つことができます。
◎マウスピース矯正でできない症例
ただし、マウスピース矯正では対応できないもあります。複雑な歯列の問題や大きな歯の移動が必要な場合には、ワイヤー矯正が適していることがあります。また、患者さまの協力が不可欠であり、装着時間を守らないと効果が得られない可能性があります。
さらに、顎変形症のように上下の顎のサイズの違いやずれで噛み合わせに異常があるような症例では、マウスピース矯正だけでの対応が難しく、外科的な手術を行う場合もあります。
【歯列矯正を考えている方はご相談ください】
インビザラインを使用したマウスピース矯正は、精密なデザインと段階的なアプローチによって、効果的に歯を動かすことができます。
目立ちにくく治療を進められる点で多くの患者さまにメリットの多い治療法ですが、適切な装着と使用方法を守ることが重要です。