「最近歯がグラつく気がする」「このまま抜けてしまうのでは?」と感じたことはありませんか?実は、大人が歯を失うのは珍しいことではなく、40代以降になると徐々に歯を失い始める方が増加します。
この記事では、大人の歯が抜ける主な原因と、年代別の歯の喪失傾向をわかりやすく解説します。
目次
■永久歯が抜ける主な原因
◎歯周病(ししゅうびょう)
歯周病は、歯を支える骨や歯ぐきが炎症を起こし、進行すると歯が抜け落ちてしまう重大な疾患で、日本人が歯を失う最大の原因でもあります。
厚生労働省の2022年の調査によれば、40代以降で特に歯周病の増加傾向が見られます。歯ぐきの腫れや出血、口臭などがサインとなるため、早めの対応が肝心です。
◎むし歯
むし歯は歯の表面を溶かすだけでなく、放置すると神経や歯の根にまで達し、抜歯が必要になることもあります。神経を除去した歯は脆くなってしまうため、破折して残せなくなるケースも少なくありません。歯を残すためには早期発見・早期治療が重要です。
◎外傷や事故
スポーツや交通事故、転倒などによる外傷で歯が抜けてしまうこともあります。特に高齢になると骨がもろくなり、軽い衝撃でも歯の喪失につながることがあります。
■年代別の歯の喪失傾向
◎40代|歯周病の進行が始まる年代
見た目には健康に見えても、歯ぐきの中で歯周病が進行している場合があります。この年代では「まだ大丈夫」と思いがちですが、実は歯を支える骨の吸収(溶けること)が始まっていることも少なくありません。歯ぐきが下がった、冷たいものがしみると感じたら要注意です。
◎50代|歯の喪失が現実的になる時期
50代では、歯周病やむし歯の影響により、1本以上の歯を失っている方が増加します。特に奥歯の喪失が目立ち、咀嚼機能が落ちることで消化や栄養吸収に影響を及ぼすケースも。入れ歯やインプラントの選択を考える方も増えてきます。
◎60代|残存歯数が20本前後に
厚生労働省の「歯科疾患実態調査(2016年)」によると、60~64歳の平均現在歯数は23.9本です。これは、28本(親知らずを含めない)ある永久歯のうち約4本を失っている計算になります。定期的なケアを怠ると、より多くの歯を失うリスクが高まります。
◎70代|義歯や補綴物の使用が一般的に
この年代では、入れ歯・義歯の使用率が急増します。2022年の調査によると、後期高齢者(75歳以上)のうち、約77.5%が何らかの入れ歯や補綴物を使用していることがわかっています。
食事や会話に支障が出ることもあるため、入れ歯の調整や口腔ケアがより重要になります。
◎80代|「8020」を達成する人も増加
かつては高齢者の多くが総入れ歯という時代もありましたが、最近では「8020(80歳で20本以上の歯を保つ)」運動の成果もあり、達成者が年々増加しています。
2022年の統計では、80歳時点で20本以上の歯を持つ人の割合は45.6%に達しています。早くからの予防とケアが効果を発揮していることがわかりますね。
【いつまでも自分の歯で生活するために】
大人の歯の喪失は、加齢の一部として自然に起こるものではありません。
日頃から意識して、歯磨きや定期検診などを続けることで、将来にわたって自分の歯を健康に保つことができます。自分の歯でしっかり噛むことができれば、食事も楽しむことができ、健康な生活を送ることができるでしょう。